学会等の用語集ではなく、私自身が講演やセミナーで頻繁に用いている用語の定義をまとめました。よって、学会等での定義とは異なっているものも多々ありますが、私は「用語」とは、それを実用上、どう用いるかが重要であり、概念定義も必要ですが、実例と実効果を示さない、概念のみの用語議論はあまり意味がないと考えます。但し、このページでは概念を主に述べ、実例、実効果は講演資料や公開論文に載せていますので、そちらを参照下さい。なお、用語についてお問い合わせ頂ければ、適切な資料を紹介することもできます。
MBD
MBD: Model Base Development, モデルを活用した開発プロセスの意。制御装置開発だけでなく、制御装置を含む部品、システムそして製品の開発のプロセスと定義する。ここで用いるModelの概念も重要であり、MBDにおけるModelの定義については別途述べる
1DCAE
1DCAEとは、1次元のCAEツールではなく、開発上流の構想設計段階で開発対象である,部品、システム機能の最適化設計を目指すプロセスである.そのプロセスは,①顧客機能定義、目標設定,②機能分析(展開),③機能の定式化(モデル化)と検証,④モデル結合(シミュレーション構築),⑤シミュレーションによるロバスト最適化の工程から成る.そして、最適化された機能を形(3D形状)とし,それを詳細化するものである.MBD同様、Modelを活用した開発プロセスであるが、1DCAEのModelは機能を定式化したものとし、形を離散化したものではなく、形にとらわれない機能ベースでの創造的開発を可能とする
モデル
MBD及び1DCAEで用いるCAE, シミュレーションのモデルは①物理モデル、②統計モデル(計測・計算)、③1D, 3D離散系モデルの他に、統計モデルの1種であるが、計測や計算でななく、経験・知見によって、機能間、機能と形・材料との関係を表したものなどがある。これらモデルは開発プロセスの各工程における目的(目的関数、設計パラメータ)に応じ、選択すべきと考える。
機能
MBDや1DCAEの中で用いる「機能」とは、Functionであり、機能間の構造、関係を機能ブロック図や機能ツリー図で表す。シミュレーションのプログラム構造はまさに機能単位のサブルーチン間の関係を表したものである。機能は自然言語もしくは数式で表すことができるが、シミュレーションの中では数式で表現する。
V&V (Verification and Validation)
ISOによるVerification と Validationの定義の対訳は、検証と妥当性確認で、元は製品やサービスの品質管理の定義であった。検証は対象が仕様・設計・計画などの要求を満たしているかに関する検証で、妥当性確認は対象の機能や性能が本来意図された用途や目的に適っているか、実用上の有効性があるかについての評価である。ソフトウェア工学者Boehmの説明は、検証とは製品を仕様通りに作っているか、であり、妥当性確認は正しい製品を作っているかということである。モデルやシミュレーションのV&Vは、ASME(米国機械学会)がその概念を具体的に定義しているが、その内容について別途まとめる予定である。