自動車用エンジン開発において、シミュレーション(以下CAE)を活用し、開発期間の短縮や試作コストの低減に取り組んできた。結果、部品の初期品質が向上し、設計のやり直しが減り、開発効率の向上に役立っている。しかし、製造業の使命は自社の開発効率化だけでなく、顧客の期待に応える製品を様々な市場環境や顧客の使用条件に対してロバストな状態で提供することである。そこで今回、開発上流において品質工学を活用し、ロバスト設計を利用した顧客機能の最適化を行った。事例は、顧客の期待する経済性と安全性に大きく関わるオイル消費量低減について、運転条件によらず、安定してオイル消費量が抑制できるエンジン部品の最適化を、モデルベース開発のプロセスに則って実施したものを示した。

参考文献
(1)田口玄一:開発・設計段階の品質工学、日本規格
   協会、1988
(2)田口玄一:研究開発の戦略、日本規格協会、2005
(3)矢野宏:超成功法、講談社、2005
(4)長谷部光雄:技術にも品質がある、日本規格協会、
   2006
(5)沢田龍作:計算工学講演会論文集 14(2), 561-564,
  2009-05、日本計算工学会
(6)沢田龍作、餅原隆浩、田中公明、西薗円:
    エンジン内部のオイル保持部最適化設計指針、
    品質工学、投稿中(2011)
(7)Guide for Verification and Validation in Computational
   Solid Mechanics, American Society of Mechanical
   Engineers, ASME V&V 10-2006, (2006)
(8)Standard for Verification and Validation in CFD and
   Heat Transfer, American Society of Mechanical
   Engineers, ASME V&V 20-2009(2009)
(9)Engineering Simulation – Quality ManagementSystems – Requirements, NAFEMS